初めて使ったウイルソンのラケット

不純な購入動機
現在まで14代に渡って続いてくるプロスタッフの初代モデルです。数多くの世界ランキング一位のプレイヤーが使ってきました。最初期は男子でジミー・コナーズ、女子でクリス・エバートが使用してましたねー。ですが、それらのトッププレイヤーに憧れてこのラケットを買ったわけではありません。このモデルが発売された当時の私はコナーズよりボルグ、エバートよりトレーシー・オースチンが贔屓でしたから。。
私がプロスタッフを買った最大の理由は「内外価格差」でした。学生の頃8ヶ月ほどアメリカに滞在していたのですが、友人からテニスに誘われラケットを買うことにしました。それまで軟式テニスしかやってこなかった私はどんなラケットがいいのか全く見当がつきません。そんな時にふと読んだ「地球の歩き方」でプロスタッフのことについて書かれた記事を見つけたのです。それによると、「日本だと5〜6万円もするウイルソンのプロスタッフが300ドル1くらいで買えた!」とあるではありませんか?! せっかくアメリカにいるのだから日本だと高すぎて買えないものを買ってやろう、と考え「内外価格差」の恩恵に預かるべく購入に至りました。

ツヨシ
「地球の歩き方」は当時海外に行く学生にとっては必携の書でしたねー
買った後から使用プレイヤーに憧れる
購入した頃にプロスタッフを使って活躍していたトッププレイヤーの一人がステファン・エドバーグでした。やはり自分と同じモデルを使っているプレイヤーは気になりますよねー。ましてエドバーグはイケメンでシュッとしていてしかも同年代。たちまちファンになりました🤩私が今まで片手バックハンドでやってきたのは彼の影響が大きいです。

アディダスからエドバーグモデルのテニスシューズが販売されていて、バンドール2で安く売ってました。今から考えればMade in Franceだったし買っとけばよかったなー、と悔やむことしきりですが当時はなぜかスルーしてました。。😅

その後もピート・サンプラスやロジャー・フェデラーなどプロスタッフ使用プレイヤーを応援することになりますが、その始まりがエドバーグでした。後にエドバーグがフェデラーのコーチになった時は感慨深かったですねー。
セントビンセント製??
社会人になってからも数年はテニスを続けていたのですが、仕事が忙しくなったり、子供ができたりでしばらくテニスを中断せざるを得ませんでした。その後、子育ても一段落した2010年にテニスを再開し翌年にSix. One Tourを買うまでこのプロスタッフを使っていました。その頃ふとネットでセントビンセント製のプロスタッフについての記事を見かけました。カリブ海に浮かぶセントビンセント島にかつてウイルソンの工場があり、そこでプロスタッフを製造していたとのこと。かのサンプラスはセントビンセント製のラケットを好んで使い、工場が台湾に移った後もセントビンセント製をかき集めて使い続けたらしいです。そんなこともあり、好事家の間ではセントビンセント製のプロスタッフがもてはやされてるとか。早速自分のラケットも調べてみました!
工場が台湾に移転したのは1991年らしく、私が購入したのは1988年です。またスロート側面の一方に「MIDSIZE」の文字が、もう一方に「Braided Graphite/Kevlar Composite 80% Graphite・20% Kevlar」と印字されていることなどから私のもセントビンセント製であるかのような気がしてきました。


ただエンドキャップに刻字されているというアルファベット3文字のコードは見当たらないなーと思いつつ、汚れを拭き取ってみたらなんとコードが浮かび上がってくるではありませんか!?単に汚れて見えてなかっただけなんですが、アルコール綿で汚れを拭き取っていくに従いぼんやりとコードが見えてきた時はなにか映画のワンシーンみたいでちょっと興奮しちゃいました笑


「QRA」と読めますが、Qから始まるコードはセントビンセント製の証だそうです。これで確定かな? まぁ売る訳ではないので自分が確定と納得できればいいのです。それで私のコダワリ心は十分満たされます❤️
セントビンセント製の検証については下記のサイトを参考にさせていただきました。https://tblo.tennis365.net/toshi1955/2014/02/27/wilson-pro-staff-st-vincent/https://tennis.fukunnu.org/wilson-pro-staff-mid-st-vincent/
いろんなところに満足しています
セントビンセントの件以外にもお気に入りのポイントがいくつかあります。
まずこのデザイン。マットブラックのボディに赤と黄色のラインが走っているカラーリングと「PRO STAFF」のフォントが非常にいい感じ。全体デザインと色合いはガッシリした硬派な印象なんですが、「PRO STAFF」や「GRAPHITE KEVLAR」のフォントがポップで可愛い感じなんですよねー。


またグリップが『FAIRWAY」製のレザーで、これがとってもいい! 軟式をやっていた頃からレザーグリップが好みでした。このグリップ、汗をかいても滑らないんですよねー。最高級と言われるのも納得です。次のモデルに買い換えた後も、FAIRWAY製のレザーグリップを巻いてたくらいです。

またラケット本体ではありませんが、付属していたカバーもお気に入りです。最近はラケットにカバーが付属していることは少なくなりましたが、当時はしっかりしたカバーが付いてきました。これもいろんなバージョンがあるようですが、私のはナイロンとビニールに緩衝材を挟んだもので、ショルダーストラップが付いていて使い勝手が良かったです。ビシッとロゴがプリントされていて、カバーに入れていても一目でプロスタッフだ、とわかるのも自己満ポイントです。

果たしてその打感は??
巷ではプロスタッフは「硬い」とか「難しい」とか、ちょっととっつきにくい印象で語られることが多かったように思いますが、これしか知らなかった当時の私にとってはプロスタッフが唯一無二のラケットです。硬いとか飛ばないとか考えることなく、ひたすらエドバーグのようなプレーをすることを目指し、ラケットに自分を合わせるんだ、と思って使ってました。スキーブーム全盛の頃にラングを履くために足の骨を削った猛者がいたと聞いたことがありますが、似たような感覚です。腕の骨は削りませんが…🤣

軟式テニスではボールの反発力が硬式ほどではないので、しっかりラケットを振ってスイートスポットに当てて運んであげないとボールは飛んでいってくれません。軟式出身の私にとっては、むしろプロスタッフはそんなに振らなくてもボールが飛んでいってくれるなーという印象を持っていました。さらにスイートスポットに当てると気持ちいいくらいボールを弾いてくれます。今にして思えば、これがいわゆる「ポケットフィール」だったのかなーと思ってます。
打球感は見た目通りガッシリした打ち応えがあり、ラケットがたわむような感じは一切ありませんでした。サーブにしても、ストロークにしても、ネットプレーにしても、常にガシッ、ガシッとボールを捉えてくれ、そういう意味での信頼感はすごくありました。
実は思ったほど重くなかった
重量を測ってみたところ、ガット込みで349gでした。v.14の334gよりは重いものの、v.13 RF Autographの359gよりは10g軽いという結果でした。v.13もv.13 RF Autographもラケットのみのカタログ値とガット込みの実測値との間に19gの差があり、これがガットの重量だとするとプロスタッフミッドのラケットのみの重さは330g程度ということになります。現代の基準からすると超ヘビー級ということになるのでしょうが、RF Autographより10gも軽いのは意外でした。使っていた時の印象から同じくらいかなーと思っていたので。。
一生手放すことは考えられません
後続のラケットにリプレイスして以降、このプロスタッフミッドを使うことは無くなりました。普段は仕舞い込んで、今後も使うことはないでしょう。でもこんなにプロダクト自体がストーリー性を持っていて、かつ若い頃のいろんな思い出が詰まった愛機ですので、手放すことなくいつまでも手元に置いておいて、折りに触れ取り出してきては悦に浸るのを老後の楽しみの一つにしようと思います。